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メサラジン不耐について(潰瘍性大腸炎・クローン病)

24 Mar. 2021

メサラジン不耐(5ASA不耐)について(潰瘍性大腸炎・クローン病)

(日本炎症性腸疾患協会の刊行するIBDニュースに院長が執筆させていだいたものより抜粋しています)

炎症性腸疾患においてメサラジン(5ASA製剤)は初期治療として最も頻用される重要な基盤となる薬剤です。最も危険性が低く、寛解導入(腸炎を良くする)や寛解維持(良い状態を保つ)ことのできる薬剤です。特に潰瘍性大腸炎ではこの薬剤の効果次第でその後の再燃率が大きく変わります。しかし、残念ながらその薬に対して副作用の出てしまう方もいます。

メサラジンは日本では潰瘍性大腸炎ではペンタサ®、アサコール®、リアルダ®、サラゾピリン®の3種類、クローン病ではペンタサ®が使用可能です。「メサラジン不耐」といった言葉には明確な定義はありませんが、一般的にはメサラジンで副作用の出てしまう症例、つまり「メサラジンに耐えられない」場合を表現します。メサラジンに耐えられない理由として、メサラジンに対する免疫反応(アレルギー:飲むことが全くできない)によるものと、免疫反応とは異なった薬剤の代謝能異常による副作用(内服量が多くなると出現する)がありますが厳密に診断することができないことが多いです。

メサラジン不耐の所見としては内服開始から1~2週間以内に下痢の悪化、発熱、皮疹などの症状や血液中の好酸球という細胞の上昇が見られます。その他には重篤な副作用として膵炎、間質性肺炎や間質性腎炎といった臓器障害、肝機能障害などが挙げられます。また内服を中止することで症状が改善すること、内視鏡所見が症状の悪化と比べて比較的軽度であることも疑うきっかけとなります。

メサラジン不耐の患者さんの治療はステロイド治療、免疫調節剤(アザニン®、ロイケリン®)や生物学的製剤などの難治例の治療薬を使用せざるを得なくなることが多くなり、それは身体的負担や経済的負担が大きくなることが予想されます。不耐を疑われた場合は専門医と患者さん自身がよく相談して治療方針を定めていくことが重要となります。

 

日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)

http://ccfj.jp/

 

(IBDニュース Vol 68. 院長執筆の掲載紙です)

http://ccfj.jp/system/wp-content/uploads/2019/12/ibdnews68web.pdf

 

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