クローン病は「原因不明であるが、免疫異常などの関与が考えられる肉芽腫性炎症性疾患」とされています。主に若年(10歳-20歳代)で発症し、小腸・大腸を中心に浮腫や潰瘍を認め、腸が狭くなる・瘻孔(穴があく)などの特徴的な病態が生じます。口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位におこりえる疾患です。
☑下痢
☑腹痛
☑発熱
☑体重減少
☑貧血
☑肛門痛(痔瘻)
上記のような症状が長期に及ぶ方は、消化器専門の医療機関で一度検査が必要かもしれません。
一般的には大腸カメラを行うことで診断します。ただし、小腸にも炎症・潰瘍をつくることが多く、大腸カメラだけでは診断に至らないもしくは異常を認めないケースもあります。そのため全身評価としてCT検査・MRI検査・小腸内視鏡検査などを行うことも必要です。病院と連携を計り行っていきます。
主にお薬での治療となりますが時に外科手術となることもあります。
栄養療法
クローン病は小腸から大腸にかけて広い範囲に炎症をきたします。腸の負担を軽減するために食事制限と栄養製剤を使用します。
ステロイド
症状悪化時や急性期の治療に用います。短期間(数か月以内)の薬剤中止を念頭に使用する薬剤です。
免疫治療薬(チオプリン製剤・抗TNF-α抗体・抗IL12/23抗体・抗α4β7インテグリン阻害剤)
クローン病は多くの方で継続的な免疫治療を要します。炎症が悪化するほど腸管に障害が蓄積されていることも知らており、早期からの治療と維持治療が重要です。炎症範囲や重症度、合併症なども含めて治療を決定します。主治医・専門医とよく相談し決定する必要があります
外科的治療
重症や薬での管理が難しい場合・大きな瘻孔(腸と腸がくっついて穴が開く)・膿瘍(腸に膿がたまる)などが見られた場合は外科手術となることもあります
引用文献
日本消化器病学会 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020(改訂第2版)・一目でわかるIBD 第二版・Inflammatory Bowel Disease, 1415-1422, 2011
学歴
山梨大学医学部 卒業
山梨大学大学院博士課程修了
(研究課題:クローン病における便中カルプロテクチンと小腸バルーン内視鏡の関連)
主な職歴
山梨大学医学部附属病院 第1内科
山梨県立中央病院 消化器内科
東京医科歯科大学 消化器内科/炎症性腸疾患センター
所属学会・資格
日本内科学会 認定医
日本消化器病学会 専門医
日本内視鏡学会 専門医
日本消化管学会(胃腸科)専門医
日本炎症性腸疾患学会
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医