いわもと内科おなかクリニック|甲府市向町

おなかに優しいかかりつけ医

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は厚生労働省の定める指定難病の一つで、難病の中では最も罹病患者数の多い疾患で日本は米国に続き世界で2番目に患者数の多い国となります。主な症状は下痢・血便・腹痛・発熱などです。診断は大腸内視鏡検査・組織生検検査・便培養検査などを行い、治療は内服や注射薬が中心ですが重症化などで外科治療なども行います。
潰瘍性大腸炎は免疫異常による疾患と考えられています。そのため症状の重たい方にはステロイドなどの免疫治療を行う必要があります。また近年では大腸癌を発症する方が増えてきており早期診断・早期治療が重要です。

潰瘍性大腸炎の定義

医科学国際組織委員(CIOMS)では主として粘膜と粘膜下層を侵す、大腸特に直腸の特発性、非特異炎症性疾患と記載されています。

潰瘍性大腸炎の症状

☑血便
☑下痢
☑腹痛
☑発熱

上記のような症状が長期に及ぶ方は、内視鏡専門の医療機関で一度検査が必要かもしれません。

診断するための検査方法

大腸カメラを行うことで診断します。ほかの診断確定できる検査は残念ながらありません。 大腸カメラは下剤を内服し腸の中を洗浄してから肛門よりカメラを挿入し大腸内を観察する検査です。苦痛を伴う検査ですが麻酔内視鏡でそれを軽減させることが可能です。

治療方法

主にお薬での治療となります。重症や薬での管理が難しい場合は外科手術(大腸全摘)となることもあります。

5ASA製剤(5-アミノサリチル酸製剤)

潰瘍性大腸炎の基本的な薬剤となります。炎症細胞から放出される活性酸素の消去、ロイコトリエンの生合成抑制により抗炎症作用を発揮する薬剤です。潰瘍性大腸炎の治療薬の中で非免疫治療の薬剤であり、軽症・中等症の患者さんに最初に使用する薬剤となります。ただし、この薬剤に対するアレルギーの方がいるため開始時には注意が必要です。

ステロイド・カロテグラストメチル

5ASA製剤で治療が不十分な方や重症の方に使用します。 免疫を抑えることで炎症の鎮静をはかる薬剤です。いずれも短期間(数か月以内)の薬剤中止を念頭に使用する薬剤です。それぞれ特徴が異なりますので使用時は専門医・主治医と病状に合わせて選択する必要があります。

免疫治療薬(チオプリン製剤・抗TNF-α抗体・抗IL12/23抗体・抗α4β7インテグリン阻害剤・JAK阻害剤)

ステロイド等での治療難治の方に継続した免疫治療薬剤として使用を行います。治療薬は多数あり、新規薬剤の開発も進んでいます。治療決定は患者さん個々の病状や生活状況(就学・就労・妊娠など)も踏まえて決定していく必要があります。専門医と十分な相談が必要です。

外科的治療

重症悪化時や薬物療法だけで症状の改善がされない場合には外科手術となることがあります。また長い経過で大腸癌を認めた際も手術が必要です。

病状のモニタリング

潰瘍性大腸炎は重症化の予防と発癌の予防のために継続的な治療と定期検査が必要です。症状だけではなく、血液検査・検便検査(便中カルプロテクチン)・内視鏡検査などで評価をしていきます。

潰瘍性大腸炎かなと思ったら当院へ

潰瘍性大腸炎の免疫治療も行う専門クリニックです。症状の心配な方はお気軽にご相談ください。

引用文献:日本消化器病学会 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020(改訂第2版)・一目でわかるIBD 第二版

著者情報

学歴

山梨大学医学部 卒業
山梨大学大学院博士課程修了
(研究課題:クローン病における便中カルプロテクチンと小腸バルーン内視鏡の関連)

主な職歴

山梨大学医学部附属病院 第1内科
山梨県立中央病院 消化器内科
東京医科歯科大学 消化器内科/炎症性腸疾患センター

所属学会・資格

日本内科学会 認定医
日本消化器病学会 専門医
日本内視鏡学会 専門医
日本消化管学会(胃腸科)専門医
日本炎症性腸疾患学会
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医