大腸がんとは、大腸や直腸の内壁に発生するがんのことを指します。一般的に、大腸がんは、腫瘍の一種である「ポリープ」から発展することが多いです。大腸がんの初期段階ではほとんど症状が現れず、検診で偶然に発見されることもあります。しかし、進行すると次第に症状が現れる可能性があります。現在、日本国内において、大腸がんは死亡者数の多い疾患の一つです。そんな恐ろしい疾患ですが、定期的な検査・早期発見で、完治可能な疾患でもあります。
大腸がんの主な症状は以下のようなものがあります
〇血便
大腸がんにより、腸内出血が起こる場合があります。その結果、便中に鮮血や便に混じった血が見られることがあります。ただし、出血が少量の場合やがんが肛門から遠い(小腸に近い)部位にある場合は、血便がないこともあります。
〇腸の変化
大腸がんの一般的な症状として、便の形状やサイズの変化が挙げられます。便が細くなったり、便が黒っぽくなったりするといった変化が現れることがあります。
〇腹痛や腹部不快感
大腸がんが進行すると、腸の内壁が圧迫されたり、腫瘍が周囲の組織に広がったりするため、腹痛や腹部不快感が生じることがあります。特にがんが大腸の下部に位置している場合、腹痛や下腹部の不快感がより顕著に現れることがあります。
〇腸の動作異常
大腸がんが腸の内壁に圧迫をかけることにより、腸の運動が妨げられることがあります。そのため便秘や腹部膨満感が生じること、大腸がんが腸の通り道を狭めることで下痢や腹痛症状を引き起こすこともあります。
〇体重減少
大腸がんが進行すると、食欲不振や栄養吸収の障害が起こり、体重減少が引き起こされる場合があります。
上記のような症状に当てはまる場合、大腸がんの可能性が考えられます。
早期に専門医による診察・診断を受けていただくことを推奨いたします。
①年齢的な要因
年齢が上がるにつれて大腸がんの発症リスクが高まると言われています。当院では、40歳を超えたら、定期的に検査・50歳以上は危険因子とお伝えしています。
②遺伝的な要因
大腸がんは遺伝的な発症傾向があり、親族に大腸がんを経験した方がいる場合、発症リスクが上昇する可能性があります。
③生活習慣要因
脂肪分が多い食事、低繊維の食事、赤身・加工肉の摂取など、食生活も大腸がんを高める要因とされています。また喫煙やアルコール習慣のある方も、過度な摂取には気を付けましょう。
大腸がんの検査方法には「大腸内視鏡検査」があります。
大腸内視鏡検査とは、肛門からカメラの付いたスコープを挿入して腸内部を観察する検査です。大腸のスクリーニング検査としては、最も精度が高い検査とされています。
当院は内視鏡専門医が「苦痛を抑えた大腸カメラ検査」を実施します。
①内視鏡検査による治療
小さなポリープや極小のがんであれば、内視鏡検査中に切除が可能です。大腸がんのステージが初期(ステージ1)の場合、適応されます。
②外科手術
早期の大腸がんでは、がんが限局している場合に手術が主な治療法となります。腫瘍部分や周囲のリンパ節を摘出する手術を行い、がんの完全な除去を目指します。場合によっては、大腸の全体を切除する場合もあります。
③化学療法
抗がん剤を用いてがん細胞を攻撃する治療法です。手術前や手術後の補助療法として使用されることがほとんどです。また、がんが進行している場合や手術が適切でない場合にも使用されることがあります。
④放射線療法
放射線を使用してがん細胞を破壊する治療法です。手術前後やがんが局所的に進行している場合に使用します。放射線療法では、がん細胞を破壊するだけでなく、吐き気やめまいなどの症状を和らげる目的もあります。
大腸がんは早期発見・早期治療が重要です。症状がでた方はもちろん、定期的な大腸カメラ検査で、病気を未然に防ぎましょう。 お気軽に当院にご相談ください。
(参考文献)日本消化器病学会 大腸ポリープ診療ガイドライン2020
学歴
山梨大学医学部 卒業
山梨大学大学院博士課程修了
(研究課題:クローン病における便中カルプロテクチンと小腸バルーン内視鏡の関連)
主な職歴
山梨大学医学部附属病院 第1内科
山梨県立中央病院 消化器内科
東京医科歯科大学 消化器内科/炎症性腸疾患センター
所属学会・資格
日本内科学会 認定医
日本消化器病学会 専門医
日本内視鏡学会 専門医
日本消化管学会(胃腸科)専門医
日本炎症性腸疾患学会
難病指定医
小児慢性特定疾病指定医