過敏性腸症候群と低FODMAP食
05 Jan. 2026【過敏性腸症候群(IBS)とは】
過敏性腸症とは大腸の運動および分泌機能の異常で起こる疾患の総称で、炎症や腫瘍が無いにもかかわらず下痢や便秘、腹痛が起こる疾患とされています。ストレスや生活習慣が原因となり、自律神経障害を起こすことで腸の機能の異常をおこすと考えられています。治療は薬剤治療の他に、生活習慣やストレスへの対応が重要とされています。
【過敏性腸症候群の診断方法】
問診や腹部診察と血液検査や便検査、内視鏡検査などを行います。
過敏性腸症候群は、腸に明らかな異常がないことを確認することで確定診断となります。10歳代から30歳代では主に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の除外、40歳代以上では炎症性腸疾患と大腸癌の除外となります。年齢やこれまでの症状の経過、検査歴などに応じて検査内容を決定します。
(検査歴の無い方に対する初期検査)
10歳代:検便検査(便中カルプロテクチン)
20歳代~30歳代:検便検査(便中カルプロテクチン)・血液検査
40歳代~:検便検査(便潜血検査)・血液検査
問診、上記初期検査の結果や治療経過によって内視鏡検査を行ないます。
【過敏性腸症候群の治療について】
(食事療法・生活習慣改善)
腸内細菌の異常は原因の一つとされ、食事療法も治療に含まれます。食事は「低FODMAP食」がよいとされます。
FODMAPとは「Fermentable(発酵性の)、Oligosaccharides(オリゴ糖)、Disaccharides(二糖類)、Monosaccaharides(単糖類) and Polyols(ソルビトール、キシリトール)」の略です。オリゴ糖(豆類、玉ねぎ、にんにくなど)、二糖類(牛乳、ヨーグルト)、単糖類(果物、はちみつ)、ソルビトール・キシリトール(甘味料など)など消化に悪い糖質が含まれます。他にも多くありますので別のサイトも検索してご覧ください。
これらの食材を避ける低FODMAP食により腸内細菌改善、過敏性腸症改善が期待できるとされます。
(低FODMAP食品まとめ)
(初期内服治療)
整腸剤、過敏性腸症候群の薬、漢方薬、下痢止め、下剤などを使用します。
(2次治療;初期治療で改善しない方)
ストレスや心理異常が明らかな方は抗うつ薬、抗不安薬などの精神科の治療、精神的補助相談を行います。*当院では精神的治療は実施しておらず、専門機関への紹介となります。
【診療についてのご理解のお願い】
食事習慣の改善とストレスを回避・除去する・十分な休息や睡眠をとることが大事です。また、うまく付き合っていく方法を探すことが重要です。完治するには完全な原因の除去(ストレスの完全除去)が必要であり、安定することを目指す疾患となります。
・精神的ストレスが関与する場合、精神科・心療内科への受診を推奨する場合があります。
・心理療法やカウンセリング、精神療法的介入は当院では行っておりません。初期治療までとなります。
・疾患の性質上、すべての不調を完全に取り除くことができないこともあります。
【受診をご検討の方へ】
以下のような方は当院での診療が適しています。
-
腹痛や便通異常の原因を整理したい方(問診、診察)
-
これまで検査歴がなく、異常がないか確認したい方(ほかの病気の除外を目的とした検査)
-
症状との付き合い方を医師と一緒に考えたい方(初期治療)
一方で、強い不安や抑うつ症状が主な場合には、専門医療機関をご案内することがあります。
当院ではまず、検便検査や血液検査などを用いて、器質的疾患(炎症性腸疾患・腫瘍など)がないことを確認することを重視しています。
そのうえで、過敏性腸症候群と診断された場合には、
-
症状の特徴や悪化因子の整理
-
生活習慣・食事内容の見直し
-
必要に応じた薬物療法
を組み合わせながら、「症状と上手に付き合っていくこと」を目標に診療を行います。
※過敏性腸症候群は慢性的な経過をとることが多く、短期間で完全に症状が消失する病気ではありません。そのため、当院では過度な通院や過剰な検査を行うことは推奨しておりません。
【当院院長監修】
(便中カルプロテクチンを用いた過敏性腸症候群と炎症性疾患の診断補助について)
(参照文献)日本消化器病学会 過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン2020
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/
山梨県甲府市 胃腸科・消化器内科 いわもと内科おなかクリニック