いわもと内科おなかクリニック|甲府市向町

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大腸憩室炎とは

27 Aug. 2026

【大腸憩室炎とは】症状・診断・治療について

大腸憩室炎とは?

大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外側に袋状に飛び出した状態です。

憩室があるだけでは症状がないことも多いですが、憩室に炎症が起こると「大腸憩室炎」と呼ばれます。

主な症状

  • 腹痛
  • 発熱
  • 腹部を押したときの痛み
  • 吐き気・食欲低下
  • 便通の変化

特に、腹痛と発熱は代表的な症状です。


大腸憩室炎はどのように診断する?

大腸憩室炎は、症状だけで確定診断することはできません。

まず、

  • 腹痛の部位や程度
  • 発熱などの全身症状
  • 腹部診察
  • 血液検査(白血球、CRPなど)

から憩室炎を疑います。

そのうえで、腹部CTなどの画像検査で、憩室とその周囲に炎症所見があることを確認することが、確定診断となります。

大腸憩室炎の診断のイメージ

腹痛などの症状

腹部診察・血液検査

腹部CTなどの画像検査

憩室+その周囲の炎症を確認

大腸憩室炎と診断


大腸憩室炎=抗菌薬、ではなくなりました

以前は、大腸憩室炎と診断すると抗菌薬(抗生物質)を使用することが一般的でした。

しかし、近年は治療方針が変わってきています。

大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン2026(改訂第2版)では、膿瘍や穿孔などの合併症を伴わない、軽症の大腸憩室炎については、抗菌薬を routine に使用しない治療が推奨される方向となっています。

つまり、

軽症・合併症のない大腸憩室炎→ 抗菌薬を使用せず鎮痛剤等で経過をみることがある

という考え方です。

ただし、これは「大腸憩室炎では抗菌薬を使ってはいけない」という意味ではありません。 症状持続や悪化時は抗菌薬を推奨するとも記載されています。


なぜCT検査が重要なの?

現在の大腸憩室炎診療では、CT検査の重要性が高まっています。理由は、CTによって以下を確認できるためです。

CTで確認できること

  • 憩室周囲の炎症
  • 膿瘍
  • 穿孔
  • 腹膜炎
  • 腸閉塞
  • その他の腹痛の原因

CTで重症度を評価できるからです


大腸憩室炎を繰り返す方は注意が必要です

大腸憩室炎は、一度治っても再発することがあります。

再発を繰り返す場合には、

  • これまでの発症回数
  • 膿瘍や穿孔の既往
  • 腸管の狭窄
  • 瘻孔などの合併症
  • 症状の程度
  • 日常生活への影響

などを総合的に判断します。単純に「何回憩室炎になったら手術」という考え方ではなく、患者さんごとに治療方針を決定します。


日頃から気をつけること

大腸憩室炎の再発予防のためにも、日頃から腸管の健康を保つことが大切です。

生活習慣のポイント

  • 便秘を避ける
  • 水分を十分にとる
  • 適度に運動する
  • 体重を適正に保つ
  • 喫煙を控える
  • 鎮痛薬(NSAIDsなど)の使用について医師に相談する

当院での大腸憩室炎の診療について

大腸憩室炎では、

① 憩室炎であることを診断する

② 膿瘍・穿孔などの合併症がないか確認する

③ 軽症なのか、重症なのかを判断する

④ 抗菌薬や入院治療が必要か判断する

という流れが重要です。

当院にはCT装置がないため、急性の大腸憩室炎について、診断・重症度評価から治療方針決定までを院内で完結することができません。腹部診察や採血検査を実施し、軽症であれば胃腸薬・必要に応じて抗菌薬の処方、重症を疑った場合はCT検査の可能な施設へ紹介をさせていただきます。

 

CT検査可能な病院の診療をおすすめする方

  • 大腸憩室炎とすでに診断されている
  • 強い腹痛がある
  • 発熱を伴っている
  • 腹痛が悪化している
  • 嘔吐を伴っている
  • 全身状態が悪い
  • 炎症反応が強い
  • 過去に膿瘍や穿孔を起こしたことがある
  • 大腸憩室炎を何度も繰り返している

特に、「憩室炎かもしれない」という段階で強い腹痛や発熱がある場合は、CT検査による合併症の確認が重要です。

また、大腸憩室炎の既往があっても改善すれば定期通院は必要ありません悪化した際の初動が重要となります。

当院を受診された場合、診察を実施したうえで腹痛止めなどによる経過観察でよいか・早めの精査が必要かを判断いたします。CT検査が必要と判断した際には、適切な医療機関へご紹介します。

 

大腸内視鏡検査について

憩室炎の炎症が落ち着いたのち、大腸鏡の検査経験のない方においては一度検査をすることが推奨されています。症状が落ち着いたのちに主治医と相談することをご検討ください。


まとめ

大腸憩室炎は、単に「腹痛がある」「血液検査で炎症がある」だけで確定診断するものではありません。

腹痛などの症状に加え、CTなどで憩室とその周囲の炎症を確認することが診断に重要です。

軽症・膿瘍や穿孔などの合併症がない→ 抗菌薬を使用せず整腸剤や鎮痛剤で経過をみることがある

重症が疑われる・症状が悪化している・膿瘍や穿孔がある→ 抗菌薬や入院治療などが必要になる場合がある

「まず重症度と合併症の有無を評価する」ことが現在の大腸憩室炎診療では重要です。